嘘恋のち真実愛
お父さんは認めてくれたようだけど、お母さんはどうだろうか。私はまた征巳さんを見た。今、頼れる人は彼しかいない。

彼がなにかを付加する前に、お母さんが肩をすくめた。


「わかったわ。自分で決めた人と結婚するのが、一番よね。それで、式はいつあげるつもり?」

「これからふたりで考えるよ」

「そう。あ、そうそう! どんなプロポーズしたの?」

「えっ?」


想定外の質問をされて、征巳さんは戸惑いの声を出した。

ようやく認めてくれたお母さんは、気持ちの切り替えが早い。式のことなど、なにも決めていないというか、私たちの関係は今日で終わりだ。

認めてもらうことしか考えていなかったから、まさか結婚に関する話をされるとは思っていなかった。

もちろんプロポーズはされていないから。答えも用意していない。征巳さんはどう答えるのだろう……横目で彼を見た。


「まさか、親にプロポーズの言葉を聞かれるとは……恥ずかしいな。シンプルに結婚してくださいと言ったよ」


彼は同意を求めるかのように、私を見て微笑んだ。彼から視線を逸らさず、微笑み返す。
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