嘘恋のち真実愛
彼の言葉に私の返事を追加した。できるだけ、真実味が感じられるように。


「私、とてもうれしくて、はいとすぐ返事をしました」

「ほんとふたり、仲が良いのね」

「当たり前だよ。仲良くなければ、結婚しないからね」

「まあ、そうよね。ゆりかさん、征巳をよろしくね」


お任せくださいと胸は叩けないが、「はい」と満面の笑顔で返した。きっと私は良い婚約者を演じることが出来ただろう。

お父さんは、笑顔でうんうんとうなずいた。息子の結婚が決まって、うれしそうだ。

お母さんは、本当に浮かれていて、新婚旅行は? 新居は? と質問が続く。


「新婚旅行もまだ考えていないけど、ゆりか、どこ行きたい?」

「そうですね……海がきれいでのんびり過ごせるところがいいですね」

「あら、いいわね!」


征巳さんは、自分よりも先に賛同したお母さんを笑った。


「海がきれいなところ、たくさんあるからいくつかピックアップして、決めよう」

「はい、楽しみですね」

「新居は当面は俺のマンションと考えているんだけど、それでいいかな?」

「はい。私、征巳さんのマンション好きです」
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