嘘恋のち真実愛
副社長に会ったことで、いつもの部長顔に戻った征巳さんは、気分を仕事モードに切り替えた。
エレベーターの中まで繋がれていた手は、営業部のある階に到着すると、離された。先を歩いていく彼を見て、少し寂しさを感じる。
でも、寂しいのはほんのひとときだけだった。
「おはようございます。北海道に行ってきたお土産です。どうぞー」
私は、部員にバタークッキーを配った。征巳さんが買ってくれたもので、ふたりからのお土産と言うつもりだったが、そこは私の勝手な都合で省いた。
部長と旅行したのは、言いにくい。しかし、すぐにバレてしまう。
「あ、部長。芦田さんからのお土産はもらいましたか? 北海道に行ってきたそうですよ。いいですよねー」
後輩の女性社員が征巳さんに聞いたからだ。
「お土産?」
征巳さんの反応に私は、ギクッとなった。やばい……。プリントアウトしたばかりの文書を手にしていた彼は、私のもとへと向かってきた。
どうしよう……。
ビクビクする私の横で、鈴川くんはすでに食べている。征巳さんは、鈴川くんに聞いた。
エレベーターの中まで繋がれていた手は、営業部のある階に到着すると、離された。先を歩いていく彼を見て、少し寂しさを感じる。
でも、寂しいのはほんのひとときだけだった。
「おはようございます。北海道に行ってきたお土産です。どうぞー」
私は、部員にバタークッキーを配った。征巳さんが買ってくれたもので、ふたりからのお土産と言うつもりだったが、そこは私の勝手な都合で省いた。
部長と旅行したのは、言いにくい。しかし、すぐにバレてしまう。
「あ、部長。芦田さんからのお土産はもらいましたか? 北海道に行ってきたそうですよ。いいですよねー」
後輩の女性社員が征巳さんに聞いたからだ。
「お土産?」
征巳さんの反応に私は、ギクッとなった。やばい……。プリントアウトしたばかりの文書を手にしていた彼は、私のもとへと向かってきた。
どうしよう……。
ビクビクする私の横で、鈴川くんはすでに食べている。征巳さんは、鈴川くんに聞いた。