嘘恋のち真実愛
征巳さんだけではなく、未央子さんも誰も悪くない。だから、謝らないでほしい。

私は、新たな決意を胸に抱いた。


「私、征巳さんの奥さんとして誰からも認めてもらえるよう、がんばります」

「ん? どういう意味?」

「征巳さん、将来は会社を継ぎますよね? だから、征巳さんのお母さんのように……」

「ちょっと待って」


征巳さんは私の前に右手を出して、話すのを制止した。ピタッと動きを止めた私の首は徐々に傾く。

なんだろう?


「俺は、社長の妻を求めていない。俺の妻になってほしいから、プロポーズした。ゆりかは変わらなくていいんだよ。ずっとそのままのゆりかでいて」

「変わらなくていい……?」

「そう。もちろん、どんなゆりかでも愛するけど、好きになったゆりかのままでいてくれたほうがうれしいからね」


征巳さんは、私に自信と安心を与えてくれた。

でも、私は今のままを保ちながら、レベルアップしようとひそかに決意する。


「征巳さん、ずっと見ていてね」

「もちろん」


入籍した日、私たちは今日の気持ちを忘れずに変わらないでいることを誓った。
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