嘘恋のち真実愛
中に入ったことがないから、外からのほうが好きなのかもしれない。スカイツリーから景色を見たら、好きが変わるかな。


「一度はのぼってみたいけど、なかなか機会はないですね」

「明日、天気が良さそうだから行こう」

「えっ、私と?」

「もちろん。なにか予定ある?」

「ないです」


この人は、いつも突然だ。その突然なことに私は、振り回されてばかり。私ばかりが動揺していて、悔しい。


「明日は、より親密になれるデートをしよう」

「親密になれるデート?」

「昨日は不自然は部分があったけど、次は完璧にしてもらいたい。絶対に嘘だと気付かれないよう、親密度をあげたデートをしないとね。婚約者らしくラブラブにしよう」


私は頷くことしかできなかった。

ラブラブ……恥ずかしげもなく、部長らしくもないワードが出てきたからだ。聞いているほうが恥ずかしくなる。

その後、ざっと部屋の中を案内してもらってから、やっと自分の部屋に帰る。

明日は午後からデートだからと言われた。これも練習の一環なのかな。

しかし、練習とはいえデートするのは何年ぶりだろう。
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