嘘恋のち真実愛
想定外のシナリオ
翌朝、カーテンを開けて外を見る。今日もこの部屋の窓から見えるのは、部長の住むマンション。

空を仰ぐ。青空で爽やかな朝だ……天気がいいから、スカイツリーデートは決行か……。

なに着ていこうかな。休日はパンツ姿で過ごすことが多いが、デートだからスカートにしたほうがいいかな?

クローゼットを開けて、すぐ閉めた。

今私、浮かれていなかった?

きっとスカイツリーから見える景色が、楽しみだからだ。天気がいいから、富士山まできれいに見えそうだもの。

それにせっかくの休日がつぶれるのだから、少しでも楽しめるように考える……そのための服選びだ。

弾んだ心を納得させるよう、自分で自分に言い訳をした。

けっしてデートが楽しみだからではないから。

どう行動したら、ラブラブなデートになるのか分からない。部長にお任せしよう。慣れていそうだし……。

約束の時間は午後二時。マンションの外に出ると、部長が立っていた。


「お疲れ様です」

「お疲れ様って……会社じゃないんだから。別の言葉で挨拶して」


やり直しを命じられる……それこそ会社みたいなんですけど……。
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