嘘恋のち真実愛
一週間の始まりから、気分が重くなる。パソコンを起動させて、大きく息を吐いた。

メールボックスを開いていると、鈴川くんが出勤してきた。


「芦田さん、おはようございます。今日は早いですね」

「おはよう。早くに目が覚めちゃったの」


嘘ではない。朝一番にメッセージを送るつもりだったから、いつもより早くに目覚めた。でも、早くに出勤しようとは思っていなかったのに、早くに出てきてしまった。

私はなにをしているのだろう……。


「あ、部長。おはようございます」

「ああ、おはよう」


私たちの横を部長が通りかかる。彼は足を止めて、私をチラッと見た。私も挨拶をしないと……立ち上がると先に部長が口を開いた。


「芦田さん、おはよう」

「おはようございます」

「うん、体調は良さそうだね」

「えっ? あ、はい」


まさか会社でも体調チェックされるとは予想外だ。

自分のデスクに向かう部長を見てから、椅子に座り直した。不思議そうな顔をした鈴川くんが、私に小声で話しかける。


「芦田さん、体調崩していたんですか?」

「あー、うん、ちょっとね」
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