嘘恋のち真実愛
鈴川くんと声をひそめて話す。彼の質問は続いた。部長とのことに関しては、興味を持たれたくないので、困ってしまう。
「休みの間にですか? 部長は、どうして知っているんですか?」
「うん、そう。あー、偶然ドラッグストアで会ったのよ。ちょっと風邪気味だったら、早めに薬を飲んでおこうと買いに行ったら、部長もいてビックリしちゃった」
嘘の答えがすらすらと出てくる。私たちのことは知られたら、面倒なことになる。嘘の婚約者だということも、会社の人に絶対知られてはいけない。もちろん鈴川くんにもだ。
「へー」と興味のなさそうな返事を鈴川くんがしてくれたことで心が安らいだのは、つかの間だった。
部長から社内メールが届いたからだ。そのメールは私と鈴川くん宛だった。今日の午後に夏イベントの打ち合わせをする予定だったことを思い出す。
すっかり忘れていた……。
そのメールにはふたつの課題が提示されていた。急で申し訳ないという前置きがされてはいるけれど、打ち合わせまであと六時間。
ひとりひとりの意見を聞きたいというが、他の業務をしながら、この課題に取りかかれと?
「休みの間にですか? 部長は、どうして知っているんですか?」
「うん、そう。あー、偶然ドラッグストアで会ったのよ。ちょっと風邪気味だったら、早めに薬を飲んでおこうと買いに行ったら、部長もいてビックリしちゃった」
嘘の答えがすらすらと出てくる。私たちのことは知られたら、面倒なことになる。嘘の婚約者だということも、会社の人に絶対知られてはいけない。もちろん鈴川くんにもだ。
「へー」と興味のなさそうな返事を鈴川くんがしてくれたことで心が安らいだのは、つかの間だった。
部長から社内メールが届いたからだ。そのメールは私と鈴川くん宛だった。今日の午後に夏イベントの打ち合わせをする予定だったことを思い出す。
すっかり忘れていた……。
そのメールにはふたつの課題が提示されていた。急で申し訳ないという前置きがされてはいるけれど、打ち合わせまであと六時間。
ひとりひとりの意見を聞きたいというが、他の業務をしながら、この課題に取りかかれと?