嘘恋のち真実愛
私の返事に征巳さんは「つまらない」とこぼした。おもしろくて決めた同居ではない。目的を果たすための同居だ。「つまらない」は聞こえたなかったふりをした。

食べ終わったあとは、征巳さんが片付けてくれる。あまり使用していないという食洗機の出番だとうれしそうにしていた。


「征巳さん、先にお風呂どうぞ。私の家ではないので、私が言うことではないのですけど」

「いや、婚約者としては間違っていないよ。じゃ、先に入らせてもらうね」

「はい、ごゆっくりどうぞ」


征巳さんの家で、どう振る舞うのが正解なのかわからない。婚約者として……も難しい。

考えることは多いけど、今はどう寝るかを決めないといけない。なにがなんでも私がソファーで寝るためには、どうしたらいい?

ぼんやりとテレビを眺めながら、征巳さんを待った。


「ゆりか、どうしたの? そんな難しそうな顔で、見るような内容?」

「ううん、なんでもないです。ただのニュースです」

「なら、いいけど、ゆりかも入っておいで。ベッド、整えておくから」

「えっ、整えて?」


着替えを取りに行こうとした私は、動きを止める。
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