嘘恋のち真実愛
征巳さんは私の様子を確認してから、隣に寝転ぶ。私の身体は天井に向いているが、彼の身体は横向きだ。それも、私のほうに向いての横向き……。
なぜこっち向き?
上を向くか下を向くか、あっちを向いてくれないかな。
「ゆりか、おやすみ」
「おやすみなさい……」
なにもしないと言ったけど、なにかされたらどう対処しようかと身構えていた私は「おやすみ」と言われて、力が抜けた。考えすぎて、力みすぎていた。
先に目を閉じた征巳さんを見て、安堵する。これで安心して眠れる……まぶたが重くなってきた。
「ゆりか……」
「へっ? 」
完全に目を閉じたところで、名前を呼ばれる。既に寝ていると思っていた人に呼ばれて、変な声を出してしまう。
首を横に動かして、目を閉じていたはずの征巳さんと目を合わせた。
「まだ足りないと思うんだ」
「なにがですか?」
「新密度……明日はもっと……」
もっと、なに?
続きを言わないで、彼はまた目を閉じてしまう。
何が言いたかったのか、聞きたかったのに……。心にモヤモヤするものを抱えたまま、同居二日目の夜は更けていった。
なぜこっち向き?
上を向くか下を向くか、あっちを向いてくれないかな。
「ゆりか、おやすみ」
「おやすみなさい……」
なにもしないと言ったけど、なにかされたらどう対処しようかと身構えていた私は「おやすみ」と言われて、力が抜けた。考えすぎて、力みすぎていた。
先に目を閉じた征巳さんを見て、安堵する。これで安心して眠れる……まぶたが重くなってきた。
「ゆりか……」
「へっ? 」
完全に目を閉じたところで、名前を呼ばれる。既に寝ていると思っていた人に呼ばれて、変な声を出してしまう。
首を横に動かして、目を閉じていたはずの征巳さんと目を合わせた。
「まだ足りないと思うんだ」
「なにがですか?」
「新密度……明日はもっと……」
もっと、なに?
続きを言わないで、彼はまた目を閉じてしまう。
何が言いたかったのか、聞きたかったのに……。心にモヤモヤするものを抱えたまま、同居二日目の夜は更けていった。