ありったけの愛を叫んで

「蒼介さんって Black Shadow のOBなんだよね?」


「そうだよ、兄貴は四代目」


そう

朔夜から聞いた話、蒼介さんは元 Black Shadow の総長なのだ


今の優しく包み込んでくれるような微笑みからは全く想像できないけど…




「そうだ、美月さん知ってる?

兄貴、喧嘩した時に前歯折ったんだ

だからあの前歯、入れ歯なんだよ」




ものすごい笑顔でそう言った律くん



そういうことは人に言っちゃうとお兄さんかわいそうだよ、、




「あ、律、また蒼介さんに怒られっぞー」


そう言う悠もニヤけてるじゃん同罪じゃん




「まぁいつもの事なんで。

あ、美月さん、鼻にクリームついてるよ

ほら」


そう言って律くんが私の鼻に触れ、その手についたクリームを
私の視界に入れた──────





「いってぇ!! !!!すんませんした!

まじですんません!別に手ぇ出したわけじゃないっす!!!」





そう叫ぶ律くんの鼻は不機嫌MAXなオーラ全開の男の手によってつままれている



そしてそのまま座っていた椅子からつまみ出され、不機嫌な男の手が離れた時には律くんの鼻は真っ赤どころじゃない、

なんか紫っぽくなっていて痛そうとかそんなレベルじゃない




「美月ちゃん、律はああ見えてプレイボーイだから、気をつけて?」



あまりの一瞬な出来事に目を丸くしていた私にそんな声をかけたのは、なぜか私を心配するように見つめる悠



私の心配より、律くんの鼻を冷やすとかどうにかしてあげた方がいいと思う…


そして律くんが元いた場所に座る不機嫌な男の睨みにそろそろ耐えられそうにない、、




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