ありったけの愛を叫んで
なんかどうでも良くなってきて、
怒られた時はあの先生が起こせって言いましたって言おう

とか色々考えながら

腰を浮かせて隣へ手を伸ばした
その時───






ゆっくりと起き上がった上半身


整いすぎたその横顔はまるで彫刻…


切れ長の目が私を捉えた



動けない、目が離せない



何も映していないような漆黒の瞳

太陽に反射してキラリと光る耳元のピアス

風に吹かれて少し揺れる前髪




時間が止まっているような感覚におちいる


"綺麗" そんな言葉では表せない。


彼の全てが、私を魅了した








「…誰だお前」








彼の形のいい唇が動いてそんな言葉が聞こえ、ハッと我に返る


私の中途半端な姿勢、伸ばしかけた今にも触れそうな手を彼が見た



ヤバい、コロサレル…



そう思ってまた動けなくなったけど、


「おい神野、お前寝てばっかで授業受けねぇんなら単位とらせねぇぞ」


そんな先生の言葉で解放されて、スっと椅子に座る




ガタンッ!




隣の椅子が倒れたと同時に、神野と呼ばれた彼が立っていた



「勝手にしろよ」



体がゾクゾクするほどの低い声


彼は、鞄を持って教室を出ていった




不良だ。


私の中の彼の第一印象は、不良。


関わることなんかない。そう思ってた。




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