ありったけの愛を叫んで
救出
学校が終わり、駅に着いて電車の時刻表を見るとあと1時間もあった
別にうちに帰りたい訳でもない、このままずっとここにいてしまおうか
できるはずのないことを考えながら、少し汚れた駅のベンチに砂を払って座る
田舎だなー…
ぼーっと見渡すと、海が見えた
この学校は海が近いらしいことに今頃気づいく
朝急いでないつもりだったけど、案外焦ってたのかな
そう自分を客観視しながら駅の錆びたベンチから立ち上がり、すぐそこの崖から海を見下ろした
意外と高い。
ここから飛び降りれば、お父さんとお母さんに会えるだろうか、楽になれるだろうか
でも死ぬのは怖い、そんな勇気なんてない
少し歩いて浜辺に降りて、波が来るギリギリの所に立つ
どこまでも続く水平線
オレンジの丸い光はまぶしくて、ちゃんと見ることができない
あの太陽は、どこに沈むんだろう
あの向こうに、お父さんとお母さんはいるのかな
会いたい。
私がそう思うことは、許されない。
だからせめて謝らせて。
ごめんなさい。
あんなこと言って、ごめんなさい。
「ごめんなさい」
そう小さくつぶやくと、少し大きめの波が私の足を濡らした
「あーぁ、濡れた」
私の小さな声は、再び来た大きな波の音にかき消される
足首まで濡れて靴なんてどうでも良くなった私は、もうすぐ冬を迎えるこの季節
冷たい海に足を踏み入れた