ありったけの愛を叫んで
「ゆい…と……」




マスクの下のその顔は、さっきまで弱々しく謝っていた結翔のものだった




「…なに、してるの…?」



「お前、よくのこのこ帰って来れるよな

俺のこと庇ったらしいじゃん、俺のこと怖くねーの?嫌いなんじゃねーの?」



嘲笑うように言った結翔



「…怖いよ、嫌いだよ、でも

自分の大切なものを失うのって、辛いと思うから くるしいとおも、


「ゴチャゴチャとうっせーんだよ!
何が失うだよ、何が苦しいだよ、家をめちゃくちゃにしたのお前じゃねーか!

お前が来るまでは母さんも優しかった、花音も可愛かった、毎日幸せに過ごしてたんだよ

お前が家をおかしくしたんだろ

辛いとか苦しいとか、もうそういうのとっくに通り越してんだよ!」




初めて結翔に言葉で傷つけられた

今までは殴られたり、蹴られたり 犯されたり、辛かったし苦しかった

でもそれ以上に結翔の言葉は私の胸を締め付ける



「やっと、お前を地獄に落とせる

お前の大事なもの、全部奪ってやるよ

お前が俺の家族の幸せを奪ったみたいに」




大事なもの、

それは朔夜や BlackShadow を意味していることがすぐにわかった




「やめて… お願いやめてっ!」



そう叫んだ瞬間、私の口は塞がれて、両手をうしろで拘束される




「っ!! ───────!」



叫びたいけど叫べない



暴れる私のお腹にドカッと蹴りがはいり、
私は意識を失った



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