ありったけの愛を叫んで
少しずつ 深くなる


この冷たさが、なんとなく心地いい


何も考えずにも、足がどんどん進んでいく




腰まで海に浸かった


このまま進めば、お父さんとお母さんに会える気がした




どんどん進んで深さが増す




顎の辺りまで海に浸かった時、パシャっと音を立てて、波のしぶきが顔にかかった




……しょっぱ。




勝手に進んでいた足が止まる


跳ね上がった海水が口に入り、やけに頭が冷静になった




こんなので、死ねるわけないじゃん。


バカみたい。なにしてるんだろう。
どうせ頭まで浸かって苦しくなれば、今来た道をもどるだけなのに。


これで死ねたら今日まで私は生きてない。


この先が怖い

死ぬのが、怖い




もう帰ろう。


そう、引き返そうと足を踏み出した時




大きな波が、私を包み込んだ




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