ありったけの愛を叫んで

「お子様同士のケンカはそこまでだ、

おい、ソイツこっち連れてこい」



結翔のその声によって入ってきた数人の蝙蝠が囲んでいたのは




「───────っ 朔夜!!」




アザだらけ、ナイフで切られた傷口から血の垂れる、手を縛られた朔夜だった



その目が、陽人を見て見開かれる




それを見て、私は絶望した

もしかしたらって思っていた

本当は陽人は演技をしていて、朔夜と悠が来たら蝙蝠なんかすぐにやっつけてくれるのかもしれないって思っていた




朔夜が乱暴に膝まづかされて、結翔がその肩を蹴り飛ばす



「本当に一人で来るとはなぁ、総長さんよぉ

そんなにこの女が大事かよ、

俺の家めちゃくちゃにしやがったコイツが命差し出すほど大事かよ!」



結翔の叫びにギュッと目をつむる



聞きたくないのに耳が塞げない

何も、もうなにも見たくない




「あぁ、大事だよ 美月のためなら死ねる

俺は美月をどんな手ぇ使ってでも守るんだよ」



そう呟くように言った朔夜



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