ありったけの愛を叫んで
「朔夜!

なんでそんなびしょびしょに濡れてんだ?!」


入ってそうそうさっきも聞いたようなフレーズ


「女の子もびしょ濡れじゃん!
待って、シャワーあびるよな

朔夜、服貸してやれ」


カウンターに立つ優しい顔をゆがませたエプロンを着た男性が、そう言って慌てて奥の方に入っていった


「チッ なんで俺が」


結構でかめの舌打ちの後、神野くんもそのあとに続く


「女の子!こっちこっち!

とりあえずシャワー浴びてきな!」


奥に消えたと思っていたエプロンの男性は
扉の前で私を手招きしている


シャワーってここで?

来たこともないこの店で?

私なんかが使っていいの?


色々と疑問すぎるし家に帰ればシャワーくらい浴びれるのに




「や、あの… 私… 帰ります」


「はやくしなきゃ風邪ひいちゃうよ?」


心配そうに私を覗き込む悠という男



「寒いんでしょ?」


その目線の先には私の震える肩





断ろうと思ったのに、悠の優しい問いかけに頷いてしまい、シャワーを浴びることになってしまった



一応人の家というか店というか、長く使わせてもらうのは申し訳なくて急いでシャワーを浴びて、脱衣所に用意されていた服はぶっかぶかの男物


しかも新品の上下下着セット


ここってカフェなんだよね…?




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