ありったけの愛を叫んで




放課後、学校の最寄り駅近くのコンビニに貼られた"バイト募集"の文字を見ていた私は


そろそろバイトしようかな、と思いたつ




中学生の時、高校に入ったら一人暮らしをするために毎日バイトしてコツコツお金を貯めていた


結局一人暮らしは却下されてしまったし、
引越しの時に貯めたお金が花音に見つかって


『うちが面倒みてやってるんだからこのくらい、当然でしょ?』


と言われ、全て取られてしまった




「また一から貯めよう」


そう小さく呟いたその時、






「バイトしたいの?美月ちゃん」






「… びっくりした…」




なんでこんなところにいるんだろう、


心配してくれるのは嬉しいけど、一歩間違えたらストーカーだよ悠…




悠の後ろにはコンビニの駐車場に停められた黒塗りの高級車





「びっくりしたって顔じゃないよね、

ポーカーフェイス、まだ治んない?」




笑顔で首をかしげる悠


そういえば最近悠からよく、
"ポーカーフェイス" という言葉が出てくる


感情表現は苦手、人になにか話すのも苦手

今の私は、5年前とは真逆の性格だった




特に何も返さない私に悠が言う






「いいバイト先、紹介してあげよっか」







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