ありったけの愛を叫んで
廊下を歩いていると、痛いくらいの大勢の視線が私を突き刺す
「ねぇーあの女ズルくない?」
「朔夜様と悠様を独り占めとかありえない、だいたいアレ転校生でしょ?」
私は今、悪口を言われている
その悪口を言っているのは、パンダみたいな顔で私を睨みつけるヤツら
顔白すぎて逆に怖いし、毎日そんなメイクしてたら肌荒れそうだと思うけど、やっぱり女子はメイクって大事だよね
なんて思う私は朝顔を洗っただけで、化粧水すら塗っていない…
なぜ私がこんな目にあっているかと言うと、原因はきっと私の前をズカズカと歩く朔夜、
そして私の隣でペットボトルのミルクティーなんか女子力の高い飲み物を飲んでいる悠のせい
昼休み、お弁当を食べ終わった私たちは屋上へ向かって歩いている
屋上で何をするのかと悠に聞くと「日向ぼっこだよー」なんて言われたけど、それなら男二人で行ってこいって感じだし、
だいたいなんでこんなに注目されてるのか分からない
"朔夜様"とか"悠様"なんて、二人は貴族なの?
それとも王様?天皇??
この二人はそれほど有名で、人気者
みんなが見ている、
みんなが、二人と一緒にいる私に嫉妬の目や好奇の目を向けている
目立つことは嫌い、注目を浴びるなんてもってのほか
でも、誰に何を言われても動じない、周りなんて見えてないように堂々と素通りする二人を見て何となく、
そんなのどうでもいいやと思える自分がいた