ありったけの愛を叫んで
ガンガンガン!ガンガンガン!ガン……


まただ。


何度叩けば気がすむのだろうか


激しい打音の鳴り止まないドアをゆっくりと開け、この次に来るであろう衝撃に備えて目をつむる




ドンッ

「うっ……」




「早く皿洗いなさいよ、風呂も鏡がくもってたわ、ちゃんと磨いてちょうだい

あ、それと」




うずくまる私の頭上に、バサッと音を立てて何かが落とされた



「床が汚かったから花音が雑巾で拭いてくれたの、あの子本当にいい子だわ」



そう言って、中年の最近少し白髪が目立ちはじめた女は立ち去った



"雑巾"

そう呼ばれたのは、引きちぎられて黒くなった私の洋服


別に、好きで持っていた訳ではない洋服


それをゴミ箱に投げ捨て、キッチンで皿を洗ってお風呂掃除のついでにシャワーを浴びた



部屋へ向かう階段に足を乗せたその時




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