ありったけの愛を叫んで
震える足でなんとか上がりきった階段の先には、鉄製の重そうな扉


朔夜はそれを片手で軽々しく開け、中に入る




つられて入ろうとすると聞こえてきた、初めて聞く呑気な声




「おかえりー

なぁはるかぁ、俺そろそろ1人でゲームすんの飽きたわ
テレビ下におろすの手伝ってくんねぇか?」




"くんねぇ" で振り返った真っ赤な髪の男と

"か" でちょうど目が合った




「…お、お、女?!?!」




少し焼けた肌、赤い短めの髪
耳には色んな種類のピアスがジャラジャラ


髪と耳は不良だけど、顔はサッカー部とかにいそうな爽やかイケメン


そんなにたくさんピアスしてたら重たそう…


そんな分析をしていると、いつの間にか繋いでいた手を離した朔夜が奥の扉の前に立って、私を見て言った




「その辺座っとけ」


………


私の方を見て "その辺" ってどの辺だよ!




いきなりヤンキーの巣窟に連れてこられた
あげく放置されて、内心結構イライラしていた私は心の中で盛大にツッコんだ




とりあえず"その辺"にあったソファに座る


真ん中にはガラステーブル

それを囲む1人がけのソファ

誕生日席には、いかにも王様専用って感じの3人がけソファ


ちゃんと王様席は空けて、1人がけのソファに座った


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