ありったけの愛を叫んで
あれからもうすぐ6年経つ……
小学5年生の時のこと
その日は11月22日
私は初めて両親と喧嘩した。
学校でいじめを発見し、その頃正義感の強かった私はいじめを止めるため、いじめていた子に怪我をおわせた
すぐに学校に駆けつけたお母さんが私に言った
「いじめていた子も悪いけど、怪我をさせた美月も悪い子よ。謝りなさい」
全く謝る気のない私の隣でお母さんは、相手の親や学校の先生に何度も何度も頭を下げていた
家に帰ってお父さんにも怒られた
「なぜ謝らなかったんだ!」
初めて怒鳴られた
あの頃の私は幼くて、いじめを止めただけでいいことをしたはずなのに、どうして自分が謝らなければならないのか全くわからなかった
「なんでなんで、意味わかんない!
美月はいじめを止めただけ!なんも悪いことしてないじゃん!!
ぜったい謝んないから!美月は悪くないんだから!!
お父さんとお母さんなんて死んじゃえばいい!だいっきらい!!」
死ね、嫌い、
それは同じクラスの男子がよく使う言葉。
その言葉が現実になるなんて思うわけない。
次の日、両親は事故にあった
私が言ってしまったんだ。
"死ね"
罰が当たったんだ。神様が怒ったんだ。
私の言葉によって、両親は死んだ。
幸せが、全て消えてなくなった。
11月23日
それは両親の結婚記念日
今頃三人で、お母さんの作った美味しいご飯を囲んで笑い合っているはずだった。
「ごめんなさい」ってきのうのことを謝るつもりだった。
もう、二人に会えない
謝ることも出来ない
顔に布のかかったお父さんとお母さんの眠る冷たい暗い部屋で
ただただ一人、泣いた