ありったけの愛を叫んで
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目を開けると "黒"

天井、壁、私を包み込む布団

全てが黒い




上半身だけ起こして、ベットの横に置かれた淡いランプの光を頼りに部屋全体を見渡す




ここ、どこ…




黒ばかりでなんだか異様な雰囲気の広い部屋

物が少ないからか、余計に広さが際立っている



ガチャリとドアが開いて、まぶしい光とともに男が入ってきた




「起きたか」


そう言ってベットの横に椅子を置き、淡い光に照らされたその顔は、眉間にシワが刻まれた、いかにも不機嫌な朔夜




「いつからだ」


その声も表情も完全に怒っている




「いつから具合悪かったのかって聞いてんだよ」


「わかんない、ただの寝不足だって思ってた」


「その寝不足はいつからだ」




必死に思い出す


たぶん11月に入ってからだから……




「2週間前…くらい」


素直に答えたのに朔夜の眉間には余計にシワが寄った





「なんか食うか」


「お腹すいてない、」




そう答えた私に朔夜は聞き方を変えた




「何なら食えんだよ、食わねぇとなおんねぇだろ」


「だからお腹すいてないんだってばー」


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