ありったけの愛を叫んで
はじめの一歩
携帯のアラームがなる前に目が覚めた
カレンダーを見てため息をつく
ー11月23日ー
あれから6回目のこの日を迎えた
普通に学校に行く
普通に授業をボーッと聞く
いつも通り休み時間に悠としゃべる
バイトがないから倉庫に行って、陽人に誘われ 少しずつ仲良くなった下っ端の子たちにビリヤードを教わった
「そろそろ帰ろっか、美月ちゃん」
悠のその声に立ち上がってついていく
パソコンに向かってなにか作業中の朔夜と目が合った
「バイバイ」
「おう」
今日、朔夜は送ってくれないらしい
もうすぐ12時にもなるのに目がチカチカするほどヒカリを放つ街、どこかへいそいそと歩く人々を車の中から眺める
「最近美月ちゃん笑うようになったし、表情も豊かになった気がしたけど
今日はちょっと元気ない?」
前の方から聞こえた小さめの悠の声
そんな小さな変化も気づいてくれる悠は、本当に人をよく見てるんだと思う
転校して朔夜や悠、陽人に出会った
バイトもはじめて、蒼介さんはいつでも優しい
Black Shadow という居場所もできた
いつの間にか、笑ったり喜んだり、イライラしたり 泣いたり
今の私はけっこう喜怒哀楽が激しいのかもしれない
最近毎日が楽しくて、充実してて
明日に希望があって
だから忘れてた
私は幸せになんかなってはいけない