ありったけの愛を叫んで

はじめの一歩






携帯のアラームがなる前に目が覚めた


カレンダーを見てため息をつく




ー11月23日ー




あれから6回目のこの日を迎えた




普通に学校に行く

普通に授業をボーッと聞く

いつも通り休み時間に悠としゃべる

バイトがないから倉庫に行って、陽人に誘われ 少しずつ仲良くなった下っ端の子たちにビリヤードを教わった






「そろそろ帰ろっか、美月ちゃん」


悠のその声に立ち上がってついていく


パソコンに向かってなにか作業中の朔夜と目が合った




「バイバイ」


「おう」




今日、朔夜は送ってくれないらしい






もうすぐ12時にもなるのに目がチカチカするほどヒカリを放つ街、どこかへいそいそと歩く人々を車の中から眺める




「最近美月ちゃん笑うようになったし、表情も豊かになった気がしたけど

今日はちょっと元気ない?」


前の方から聞こえた小さめの悠の声


そんな小さな変化も気づいてくれる悠は、本当に人をよく見てるんだと思う




転校して朔夜や悠、陽人に出会った

バイトもはじめて、蒼介さんはいつでも優しい

Black Shadow という居場所もできた




いつの間にか、笑ったり喜んだり、イライラしたり 泣いたり


今の私はけっこう喜怒哀楽が激しいのかもしれない


最近毎日が楽しくて、充実してて


明日に希望があって




だから忘れてた




私は幸せになんかなってはいけない




< 47 / 169 >

この作品をシェア

pagetop