ありったけの愛を叫んで



『幸せになりなさい』

そうお母さんは言ったけれど

両親が死んだのは私のせいなんだ




車から降りて、悠に小さく手を振る




ドアを開けて家に入ると、広い玄関にはおばさんが立っていた




「遅かったわね」


低く発せられた声


無視して家に上がろうとするけれど




「今日はあんたのパパとママの命日じゃない

あの人達、今のアンタの事見てどう思うんだろうね」






ガチャッ!






最後まで聞かずに家を飛びだした




ひたすら走る

あの家から遠ざかりたくて、

あの言葉を今すぐ頭から消したくて




ハァ、ハァ、ハァ… うっ うぅ…


ただただ涙がこぼれた


冷たい涙が私の頬を伝って地面に落ちていく




今の自分は最低最悪だ


今まで一度も、ひとときも忘れたことがなかったあの日を、忘れる瞬間がある


今の私は確実に幸せに近づいている


それは、許されることじゃないんだ




月明かりに照らされた小さな公園のブランコで、一人泣いた








どれくらいたっただろう────


泣き疲れて頭がボーッとしてきた時、






ブォンブォン


1台のバイクの音が公園の前で止まった




え… こっち来る…


月の逆光のせいで迫ってくる男の顔は見えない


逃げた方がいいのか、なんて考えているうちに


男が目の前に立った



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