ありったけの愛を叫んで


グイッと肩を掴まれ、朔夜の方を向かされる

朔夜は私の目をじっと見つめて続けた






「一人で泣くんじゃねぇよ

泣きたい時は俺を呼べ、苦しかったら俺を頼れ

なんでも一人で抱え込むんじゃねぇよ」






切なそうに言う朔夜をうつす視界が涙でかすむ






「お前のことほっとけない、

俺はお前を守りたい」






さっき散々流れたはずの涙は止まることを知らない












「美月、お前が好きだ」












抱き寄せられて、大きな腕に包み込まれる


朔夜の爽やかなシトラスの香りが鼻をくすぐった


泣いてばかりで何も言わない私の顔を
朔夜が覗き込み、揺れる瞳を向け言った




「泣いてるだけじゃわかんねぇよ」




分かっている


自分が朔夜をどう思っているかなんて、結構前からわかってた




でも…






「私は… 幸せに、なっちゃいけないの」




「誰が決めたんだよそんなこと」




「私はたくさんの人を不幸にしたの!

全部私のせいなの!

だから、私だけ幸せになるなんてこと、
できないの…!」




泣きながら訴える


本当の自分の気持ちを抑えるために、声を荒らげた






「俺には関係ねぇよ そんなの」




顎が持ち上げられて、強制的に目を合わせられ 朔夜の瞳に映る自分が視界に飛び込んだ








「俺のこと、好きか、嫌いか」




だまった私に鋭い目の朔夜が威圧する




「どっちだ」






「………き」




「あ?」




どうしてこんなに威圧されなきゃいけないんだ


朔夜の目は鋭く私の心を見透かすように突き刺さる






「好き! 朔夜のことが好き!!」






これじゃあまるで尋問だ


さっきまでのいい雰囲気はどこへ行ったのだろう、、




私の言葉に満足した朔夜は




「だったらそれでいいだろ」




そう言って、妖艶に笑った













お父さん、お母さん




私、幸せになっても、いいですか……?










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