ありったけの愛を叫んで
寒さが厳しくなってきた12月


暖房でぬくぬくにした幹部室のガラステーブルの上に並んだトランプを見つめる


陽人が1枚目を裏返す


"黒の♥の10"


「「 あっ 」」


「っしゃあ!!」
「あーーーー」


私がさっき引いた 赤の♥の10 の位置を陽人はしっかり覚えていた


「俺、次も当てる自信あるから」


そう自信満々にドヤ顔で言って勢いよく1枚目、2枚目とトランプをめくった陽人




「あぁ〜 くっそー…」


「はは! さっき ♠の6 私が引いたじゃん!

ラッキー」


そんなこんな、神経衰弱を楽しんでいると






「麗香さんじゃないっスか!

どうしたんすか?!」


何やら部屋の外が騒がしい


「どうしたって、会いに来たのよ!!」


男だらけの倉庫ではじめてきいた、私以外の女の人の声




その騒がしさがどんどん近づいてくる


朔夜に会いに来たのかな…


ていうか朔夜って元カノとか何人いるんだろう…


なんとなく嫌な予感がして体が固くなった






ガチャッ




「あら!ホントにいた!!

かんわいーーーー!!」




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