ありったけの愛を叫んで
「なんでみんな、クリスマスってだけでこんな騒ぐんだろうな
日付に名前が付いただけなのに」
珍しく自分から話し始めた朔夜
「俺にクリスマスなんて楽しい日はなかった
毎日つまんねぇことばっかで、生きがいも 希望もなかった」
どこか遠くを見ながら呟くように語りかける
きっと朔夜も、人には言えない何かを抱えている
「でもここに来て、 Black Shadow に出会って俺は、少しは変われた気がすんだよ
クリスマスも悪いもんじゃねぇ ここにいれば明日が楽しみになる
生きる意味ができた気がしたんだよ」
やっぱり朔夜は気づいてた
クリスマスに嫌な思い出があって そのせいで心からクリスマスを楽しめていない私に
「いつか お前もそう思ってくれたら俺は嬉しい」
そう言って、テーブルに手のひらサイズの可愛らしい赤い箱が置かれる
「メリークリスマス」
立ち上がって私のおでこにキスを落とし、階段を降りていく朔夜
スローモーションのように見えたその動作
ドキドキと、あとから高まりはじめた私の心臓
思わず顔を手でおおった
…なに今の…!
絶対真っ赤だ私の顔!!
急いで少しあおいで、顔の熱を冷やしてから箱を開けてみる
「わ、かわいい!」
中身は薄ピンク色をした手のひらサイズのうさぎのマスコット