ありったけの愛を叫んで
『今日、夕方まで倉庫来ない?

美月ちゃんのいない倉庫って全く華がないんだよねー』


「えっと…」


悠の質問にどもる私




『ちょっと電話貸せ』


いきなり朔夜の声が近くなって


『おい、今なにしてんだ』


電話での尋問が始まった…




『電話出れるってことは一人なんだろ、

部屋か』


「う、うん」


『なんで倉庫来れねぇんだ』


「それは! おじさんが帰ってくるからって…
言ったじゃん…」


だんだん小さくなってしまった私の声




『でも今一人なんだろ?』


「い、今は、一人」


『お前、なんか隠してんな?』


なんでバレるの?!


やっぱりカメラどこかにあるんだ




『夕方には返す、それまでは倉庫来い』


「いや!いろいろおじさんと話すことあるし…」


『倉庫に来て、なんかまずいことでもあんのか』


「いや… ない、こともないけど、、」


なんでこんなに問い詰められなきゃいけないのか…




『今から迎えに行く、ピンポン押すからな

嫌なら外出てろ』




──────ツー、ツー、ツー…




あーこれはピンチだ


今年最後の、最大の危機だ




とりあえず本当にピンポンを鳴らされたら困るので、急いで着替えて準備する


大きな絆創膏を、大きなマスクで隠した




「私は風邪、私は風邪、、」


呪文のように唱えながら家の前で車を待つ




すぐに到着した高級車


悠が降りてきて、私を見て開口一番


「…マスクでかくね?」


顔をしかめてそう言った




< 70 / 169 >

この作品をシェア

pagetop