ありったけの愛を叫んで
なめらかに走り出す車
隣からは鋭い視線
冬なのに手に汗をかく私
「なんでそんな でけぇマスクしてんだ」
でかいのはわかってます、
わざとでかいの選んだんです!
「…風邪ひいたの」
「普通の声だろ、しかもさっき電話でそんなこと一言も言ってなかったよな」
電話の時咳してるフリして誤魔化せばよかった…
風邪の言い訳が使えなくなって、必死にほかを探す
「…く、唇が!
その、乾燥で カサカサしてて…」
前の席に座る悠の肩が震えている
いっつもいっつもこんな時、悠は笑って助けてくれない
「お前の唇 乾燥してるとこなんて見たことねぇ、
お前いつも唇プルプルだろ」
真顔で言う朔夜に
「いつもどこ見てんだよ!」ってツッコミたくなったけどそうもいかない
「冬だから!
冬は乾燥の季節だか、「もう取るぞ」」
「ちょっと!!」
慌てて抑えようとしたけど見事に手首を掴まれて、朔夜の反対の手がマスクを外した
……………………
長い沈黙のあと
「説明しろ」
その低すぎる声に、体の奥から震え上がった