ありったけの愛を叫んで





「ちゃんと消毒しないとダメだよ」


消毒液を染み込ませたティッシュで傷口を拭いてくれているのは心配そうに顔を歪ませる悠


目の前では、陽人が新品の大きな絆創膏の紙を剥がしてくれている


隣には不機嫌MAXの朔夜


さっきから目が合うたびに舌打ちして睨んでくるからちょっと傷つく…




"お兄ちゃんがラジコンヘリの操作をミスって私の顔に当たり、羽のせいで切れてしまった"

という車の中でパッと思いついたなんともビミョウな嘘


今時ドローンじゃなくてラジコンヘリっていうところがちょっと怪しいかも、なんて思ったけど


一生懸命 想像を膨らませて、身振り手振り説明したかいあって、今のところみんな納得してくれた、はず…




陽人なんて、「美月の兄ちゃん下手くそかよ!」と声を上げて大爆笑


きっとこの中で本気で信じてくれているのは 純粋な陽人だけだと思う


ごめんね陽人、、




「美月ちゃん、今日何時までいられる?」


「おじさん仕事に戻るって、なんか急用みたい

だからいつも通りで大丈夫だよ」


「え!それなら一緒に朔夜ん家行こーぜ!

レッツ 年越しお泊まり会だ!」


という陽人の一言で、否定する暇もなく決まってしまった年越しお泊まり会




そして訪れた、2回目の朔夜の部屋


私と朔夜はまだデートもしたことがないのに、急にお泊まりなんてもっと段階ってものがあると思うし


だいたいメンバーが、 男 : 女 = 3 : 1 なんて
普通におかしい




でも、4人でコタツに入ってオードブルを囲んでご飯を食べたり、普段ゲームとかあんまりしない朔夜と悠も一緒にババ抜きをして、
大晦日特番のテレビをみながら大爆笑してる今を

最高に楽しんでいる自分がいた



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