ありったけの愛を叫んで

目撃、そして確信

目が覚めて、時計を見るとまだ4時半だった


外は真っ暗


「朝まで起きてよーぜ!」なんてはしゃぎながら言ってた陽人はテレビの前に転がってる



いつの間にかみんな寝ちゃったんだ…




広くて大きなソファから上半身だけ起こし、月明かりを頼りに部屋を見渡す


ふかふかな毛布が膝にかかっていた


きっとそんなことする紳士は悠だろうな…




これ…お酒?


部屋のいろいろな場所に転がった大量の缶ビールらしきもの


高校生のくせに大人だなぁ




警戒心のみじんもなくぐっすり眠る朔夜の寝顔を観察する


いつもはあんなに怖い顔してるのに、
寝るとかわいいなんてギャップ萌えすぎる


耳には、クリスマスに私がプレゼントしたピアスが光っていた




「あ、はだけてる…」


風邪ひくじゃん、


そう思って朔夜のTシャツに手を伸ばそうとしたその時






─────────!!!!






驚いて声も出なかった








少しはだけたTシャツの下から見えるのは




色鮮やかな背中




おそるおそるTシャツを掴んで少しめくると


背中全体に広がる大きな白い花


その周りを彩る小さな花たち








ドクンドクンドクン…


自分の心臓の音がうるさい








「ん…」


っやば!!




少し顔をゆがめた朔夜を見て急いで寝たふりをする








よかった… 起きてない…


ソファから顔だけ下を覗くと、朔夜の体の向きが少し変わっていてもう背中は見えなかった




やっぱりこの人、ただものじゃない


それは分かりきってることだった




起きたらちゃんと聞いてみよう


全く眠れる気はしなかったけど、見てしまった光景を頭から消したくて、無理やり目を閉じた







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