ありったけの愛を叫んで
〜Side 朔夜〜
ちゅんちゅん ちゅんちゅん
鳥の鳴き声で目が覚めた
「あたまいてぇ…」
窓から差し込む光がまぶしい
時計を見ると、8時を過ぎていた
ちょっと飲みすぎたかもしれない
まだぼーっとする頭で部屋を見渡す
「散らかしすぎだろ、」
テレビの前に転がる陽人の近くにさらに転がっているのは、いろんなジュースの空のペットボトルやビールの空き缶
きのうやったトランプもばらまかれていて自分の家だとは到底思えない
悠も結構飲んだのか、缶ビールを手に握ったまま眠っている
人の家だと思って…
そう思いながらも、俺はなんでか笑っていた
こんなくだらないことでも笑えるようになったのは、多分こいつのおかげ
ソファでスヤスヤと気持ち良さそうに眠る美少女の頬を優しくなでる
真っ白な肌に貼られた白い絆創膏
「ほんとは何があったんだよ…」
必死に言い訳する美月の姿を思い出す
俺に言えない何かが、美月にはある
でもそれと同じに、俺もまだ美月に言えていない 言うのが怖いことがある
「おたがい様だな」
小さく呟いて、美月のプルプルの唇にキスを落とした