ありったけの愛を叫んで


〜Side 美月〜




ピリリリ、ピリリリ、ピリリリ、ピリリリ…


鳥の声で目が覚める心地の良い朝


昇ったばかりの太陽の光がカーテンの隙間から差し込んで─────…




じゃない!!!




全然鳥の声じゃない 電子音だし!


太陽も昇りきってるじゃん!




せっかくのお正月を半分寝て過ごしてしまったらしい




そしてさっきからうるさい電子音の正体は、悠の近くに落ちている携帯


こんなにうるさいのに悠と陽人は爆睡していて全く起きない




普段は無防備な姿を1ミリも見せない悠の寝顔がかわいくて、これもお泊まりの特権だろうと思う




悠があまりにも気持ちよさそうに眠っているから起こすのは少し気が引けるけど、鳴り止まない電子音がさすがに嫌になってきた…




「悠ー、悠 起きて! 電話鳴ってるよ」


「ん… あぁ美月ちゃん おはよー」




まだ寝ぼけて目をこする悠は子犬みたいだ




「悠、おはようじゃないよ、もうこんにちはだよ」


そう言っていまだに鳴り止まない携帯を悠の手に握らせる


「ん、ありがと」


そう言って悠が通話ボタンを押すと、




「はるがああぁぁぁ!!今どこで何してんのよ!!」


いきなり聞こえた電話越しの怒鳴り声


あまりにも突然すぎて肩がビクッてなった




さすがに悠も目を覚ましたらしく
「あーごめん」 とか 「すぐ行くから」 とか、
弱々しく相手をなだめていた



それにしてもこの部屋は汚すぎる…

前来た時からは想像もつかないほど散らかった朔夜の家のリビング

みんな高校生のくせにお酒飲み過ぎだし。





部屋中に散らばったお菓子のゴミや、陽人の周りに転がる空き缶をゴミ袋に集めて トランプをまとめた後、朔夜を探しにリビングを出る



扉の開いた寝室を覗くとやっぱりそこにいて、

デスクでパソコンに向かって真剣な表情をするいつも通りの朔夜




あれ、夢だったりしないよね…




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