ありったけの愛を叫んで





お正月にパスタは似合わない、、


目の前のもう少しでなくなるカルボナーラをフォークに絡めながらそんなことを思う




元日の夜、奇跡的に開いていたレストランで食事をするのは、私たち2人と離れたテーブルに1人でステーキを食べている中年男性のみ






「美月ってさ、無自覚っつーか天然っつーか、
鈍感だよな」




急にそんなことを言ってきたのはステーキの追加注文を2回も繰り返し、しかももう食べ終わっている陽人


ハッキリ言って食べ過ぎだと思う、そして
バカとかアホとか言われるよりも傷ついた気がする…




「どこが!!」


「どこがって、全部だろ

アイツらとずっと一緒にいんだろ?
朔夜なんてクラスも一緒なんだろ?

おかしいと思ったことねーのかよあんな高級車、マンションの最上階に一人暮らしなんて

まだ気づいてねーのかよ」




きっと陽人は、私が 「なんのこと?」 とでも言うと思っている


残念だけど、私は天然でも 鈍感でもないよ


ちゃんと気づいてるよ




陽人がなんのことを言っているかなんてすぐに分かった


だから、私に意地悪言った罰だよ





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