ありったけの愛を叫んで

すれ違って

あの後倉庫に帰って遅くまで陽人とテレビゲームをしたり、下っ端の人達のバイクの話を聞いていたけれど、

その日は朔夜は戻ってこなかった




三が日はずっと倉庫で過ごした


2日からは朔夜も悠も普通にいて同じ部屋で過ごしたけれど、どんなタイミングで聞けばいいか全く分からず、
特に朔夜にはすごくぎこちなく接していたと思う






4日になって、今年初仕事


バーの時間帯になった頃、カウンターでグラスを磨く私の前に座るのは


ブラックコーヒーをゆっくりとすする朔夜




私も朔夜も無口なほうで、二人に会話がないのはよくある事だったけど


無言でながれる今この時間はすごく居心地悪い……


チラチラ、チラチラと5秒おきくらいに朔夜を盗み見ていると




─────! やば…




バチッと目があってしまった




「んだよ、さっきから」


どうやらチラ見していたことはバレていたらしい




今日はちゃんと聞こう。


そう決意した私は勇気を振り絞る




「話があるんだけど… バイト終わったあと、

ちょっと話せないかな、公園とかで…」







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