ありったけの愛を叫んで



ピンポンを押すと40代くらいの女が出てきた


こいつが美月の母親なのか…?





「な、なんなのよあなた達!」


ガラの悪い俺たちを見てヒステリックな声を出す女




「あの、こちらに 琴宮美月ちゃんは いらっしゃいますか?」


営業スマイルで 冷静に言う悠




「あ、あの子なら 最近帰ってきてないわよ!

どっかのチンピラとでも遊んでんじゃないかしらね!!」




家に…いない…?

だとしたらどこにいるんだ…




途端に不安になった俺の隣の悠はやっぱり冷静で




「では、家の中を拝見させていただいても
よろしいですか?」


その目は、広い廊下の先にある階段を見ていた




「えぇ もちろんよ!きっと探しても無駄ね」




その言葉を合図に俺は、靴も脱がずに階段を駆け上がる


後ろから女の怒鳴り声が聞こえたが、どうでもよかった




登りきってすぐ横には扉があった


直感で開けたその扉の奥を見て、後悔が押し寄せる




なんで気づいてやれなかったんだろう


なんですぐ助けに来てやらなかったんだろう




「美月! 美月!!」




俺は大声で叫ぶ




その華奢な体は衰弱しきっていた


美月は今にも、消えてしまいそうだった






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