へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
恐る恐る、私は後ろを見る。
群がる女子達の隙間から、雅くんと視線が絡んだ。
ふわっとお花が開くように、優しく微笑んでくれた雅君。
――私だけに笑顔を向けてくれた。
贅沢すぎる現実に、私の顔の熱がぐんぐん上昇してしまう。
かっ…かかか……かっこいい!!
一瞬だけだったけれど、アイドルスマイルまで飛ばされてしまい
――私と雅くんだけの、秘密のやり取りみたい。
バクバク飛び跳ねる心臓が、肌を突き破りそうなほど暴れてしまう。
クラスのみんなに、私たちの関係を勘づかれないようにしなきゃ。
雅くんに微笑み返せぬまま、私は急いで前を向きなおした。