へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
「明梨ちゃん、来てくれてありがとう。とりあえずお昼にしよっか」
穏やかに微笑んだ雅くん。
抱えていたシートを床に敷くと、「どうぞ、座って」と促してくれた。
レジャーシートの上
向かい合いながら座ったけど……
手を伸ばせば触れられそうなほど近くに、雅くんが座っている。
ドキドキがフツフツ湧き出て、止まらない。
かといって勧められたのに、レジャーシートの外に座るなんて不自然だよね?
このドキドキをごまかしたくて
私は雅くんのお弁当に視線を逃す。
「雅くんのお弁当、おいしそうだね。お母さんが作ってくれたの?」
「俺」
「え? 雅君が?」
「だって俺、今、一人暮らし中だから」
一人暮らし?
実家から、この学園に通っているんじゃないんだ。
でも、なんでなんで?
3年生の中途半端なこの時期。
雅くんはこの学園に、転校してきたんだろう?
「明梨ちゃんのお弁当も見せてよ」
「あ、うん」