へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
『ごめん……学園祭ライブの司会は、放送部の翠さんにやってもらうことになって……』
俺の言葉を聞いたときの明梨ちゃんの表情が、今でも目に焼き付いて離れない。
瞳が潤んでいて。
何かをこらえるように、強く唇をかんでいて。
握りしめた拳が震えていて。
『それならアミュレットの専属司会として、毎週ステージでに立ってよ』
そう伝えたかったのに……
ストップウォッチを机に置いて、明梨ちゃんは席に戻ってしまった。
このストップウォッチ、翠さんに渡すわけないじゃん。
俺色に染まったものを明梨ちゃんに持っていてほしくて、勇気を出してプレゼントしたんだから。