へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
俺はステージ袖の、パイプ椅子に座る。
まるでボケと突っ込。
コントのような二人のトークを、ぼんやりと聞いていた。
いつもなら、プッて吹き出しちゃうほど面白いのに。
今はそんな気になれない。
それくらい自分の気持ちが沈みこんでいる。
原因は間違いなく、廊下ですれ違った明梨ちゃん。
なんで、珀斗くんに手を引っ張られていたの?
なんで、切なそうな瞳で俺のこと見つめたの?
なんで? なんで? なんで?
考えても答えがでない問いが、脳みそをぐちゃぐちゃにかき混ぜる。
たまに見せてくれるよね。
俺と翠さんが話している時。
苦しそうな表情を。
それって、嫉妬をしてくれているの?
それとも、俺がそう思い込みたいだけ?