へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
「明梨さん、ここにいたのね」
「……学園長」
体は起こしたけど、まっすぐに学園長の顔なんて見られない。
だって今の私、情けない顔をしているから。
視線を床に落とす私に、フフフと笑い声が降ってきた。
「懐かしいわ。昔を思い出しちゃったわ」
「昔?」
「あなたのお母さんも、そんな辛そうな顔をしていた時期があったのよ」
大嫌いなお母さんの話題なんて。
今は耳にしたくないのに。
「母の話は、しないでください」
強めに反発した私の言葉。
「そうだったわね。十環(とわ)くんにも、くぎを刺されていたんだったわ」
学園長は、にこやかに微笑んでさらりとかわした。
「明梨さんは行かないの? アミュレットのライブ」
「行きません」