へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
「なんでいるのよ……お母さん……」
「は? 別に……」
お母さんの吐き捨てるような声が、私の心をフツフツと煮えたぎらせていく。
真っ黒なサングラスで瞳は見えない。
でも絶対に今、私のことを睨んでいる。
わかるよ、そんなこと。
お母さんとの縁を切るまで、何度もその低い声で怒鳴られてきたんだから。
「お母さん、今すぐ帰って!」
「嫌よ。せっかく来たのに」
「生徒以外、入っちゃダメなの!」
「問題はないわ。アミュレットのライブ見る許可、学園長にもらってあるから」
もうこの人に、何を言っても無駄だ。
実家に住んでいた3年前までもそうだった。
私がお母さんに何を言っても、鋭い瞳とドスの効いた声で跳ね返されていた。