へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目

春輝と綾星のフォローでも、まだ瞳を曇せたままの明梨ちゃん。

出遅れちゃったけど、俺も明梨ちゃんの誤解を解きたい。


「明梨ちゃん、見ててね。あの時、明梨ちゃんが考えた演出が最高だって、ステージで証明してあげるから」


俺の言葉を聞いて、明梨ちゃんが笑ってくれた。

俺の目を見て、安心するように笑ってくれた。


本当に嬉しい。

本当にかわいい。

今すぐギュって抱きしめたいくらい。


そんな能天気な俺の思考は、鋭いマトイの言葉で切り捨てられる。


「その代わり、お前の司会で俺たちをゾクゾクさせろよ。ステージに飛び出す前のあの快感、マジでサイコーだから」


マトイ……今のはレッドカード!

いつもダメだしばっかりのマトイが本気で人を褒めたら、効き目ありすぎだから。


今のでマトイのことを好きになっちゃったらと、心配になったけど。

褒められて静かに喜びをかみしめている明梨ちゃんを見たら、俺まで幸せな気分に。


「明梨ちゃんの曲紹介の後に、曲スタートでいいんだよな? で、俺がトップバッターで踊りながら登場するから」


「それで大丈夫だよ。綾星くんのキレのあるダンスがトップだと、盛り上がるもんね」


「あやあやの後は僕ね。女の子たちに手を振りながら登場するんだぁ」

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