へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
「ありがとう」
そう言いながら、俺の渡したストップウォッチを胸に当て、大事そうに握りしめた明梨ちゃん。
だから、その純粋な顔もかわいすぎだから。
あ~~
明梨ちゃんに触れたい。
明梨ちゃんを、もっともっと感じたい。
本番直前というキーワードが、暴走しそうな俺をなんとか食い止めてくれている。
それなのに……
俺の視線に気づいて、綺麗な瞳で俺を見つめ返す明梨ちゃん。
だからダメだって。
今は特にダメだって。
熱を帯びた瞳。
赤く染まった頬。
明梨ちゃんのその表情。
大好きすぎて、たまらないから。
「雅くん…… 本当に大好き……」
かすれるような甘い声が俺の耳をとろけさせた瞬間、俺の中で糸がぷつんと切れた音がした。
もういい……
どうなってもいい……
だって俺をその気にさせたのは、間違いなく明梨ちゃんだから。