へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
「負けって……何?」
「カッコよさ」
え?
カッコよさって……
珀ちゃんに勝てるわけないよ。
いつも女の子たちに
キャーキャー言われて。
誰の前でも堂々としていて。
男らしくて。
「珀ちゃんの方がカッコいいじゃん」
「は? それ、俺に告ってんの?」
ニヤニヤ顔の珀ちゃんに
あわてて反論。
「ち……違うよ……」
「だよな。
さっき桃華さんから聞いたから……
お前と雅が、うまくいったって……」
さっきまで余裕のある笑みを
浮かべていたのに。
180度表情がひっくり返った珀ちゃん。
辛そうに唇を噛みしめる珀ちゃんに
私は謝ることしかできない。
「……ごめん」
「あ~!もう!
明梨にそんな顔させるために
お前んとこ来たわけじゃねえし!」
珀ちゃんは頭をかきながら
強めに言葉を吐き捨てた。
そしてまた
輝きを放ったような笑顔を私に向けた。
「ステージに立つお前
すっげーカッコよかった」
「……ありがとう」
「見ててすっげー悔しくなったし。
明梨に俺が負けるなんて
プライド的に許せねえ。マジで。」
「負けとかないじゃん」
「は? 勝者の余裕見せてんじゃねえよ」
だから
勝ったとか負けたとか
そういうのないじゃん。
「明梨、覚えとけよ」
「え?」
「お前は俺のライバルだからな。
俺はぜってぇ
TODOMEKI歴代最強の総長になる。
強さでも、精神面でも。
ダントツ1位目指すから。
お前は、司会の道、突っ走れよ」