へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
辛い思いを
一人で抱え込んでいるみたいに
下唇を思いっきり噛みしめながら、
ボロボロ涙を床に落としてる。
「大丈夫?」って
今すぐ明梨ちゃんを抱きしめたいのに。
そんな権利、俺にはないよね?
だって俺が傷つけちゃったんだから。
その時
明梨ちゃんが苦しさを我慢するように
フッと笑った。
大粒の涙とともに、俺に微笑んだ。
「翠さんと……
上手くいくといいね……」
何……
今の明梨ちゃんの笑顔……
俺がさせちゃったんだよね。
辛さを必死に隠すような
痛々しい笑顔。
明梨ちゃんに謝らなきゃ。今すぐに。
そう焦れば焦るほど
俺の肺が思いっきり潰されて
言葉が出てきてくれない。
そんなヘタレの俺を見限ったかのように
明梨ちゃんは涙を手でこすりながら
俺の前から走り去っていった。