へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目
「早く雅が行かねえと、
あいつ、学校中の女子から囲まれるぞ。
そうなったら雅、助け出せるの?」
俺なんかが助けなくても
珀斗くんなら自分で何とかできるから。
俺と違って……
男らしいし……
暴走族の総長だし……
「ほら雅。早く行ってやれよ」
綾星は俺のカバンをヒョイっと
俺の腕の中に押し込むと、
「じゃあな~」といたずらっぽい笑みを
浮かべた。
珀斗くんになんて……
会いたくないのに……
こんなに体の中に空気ってある?
ってほど、
長く息を吐いた俺は
諦めるように校門に向かって
とぼとぼと歩き出した。