俺から逃げられると思うなよ
半泣き状態の私に絡んでくる男たち。

やっぱり、繁華街なんて来なければよかったのかな。

抵抗するけど、男たちの力のほうが強くて。

もういやだよ……。



「その手、離せ」



聞き覚えのある声がする。

男たちは知らないフリをして、私を引きずっていく。



「離せ」



その声の主は、男の腕を掴んだと思ったら、一気に捻り上げた。



「いってぇな!」



解放された私は、その場に座り込んでしまう。

男の腕を捻り上げているのは、神崎くんだった。



「離せ、って言っているのに離さないから」

「いてぇっ」



神崎くんの聞いたことないような低い声。



「もう、この子に絡まないで」



男たちも、私も震え上がるほど。

怒りの感情をあらわにしていた。


その姿におびえたのか、男たちは神崎くんの腕を振り払い、逃げていった。


残されたのは、私と神崎くんだけ。

地面に座りっぱなしの私に、神崎くんは手を差し伸べてくれる。
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