俺から逃げられると思うなよ
「大丈夫?」



その手を取って、立ち上がろうとするけど。



「……腰抜けちゃったみたい」



苦笑する私。

そんな私に神崎くんは、私に背中を向けてしゃがみこむ。



「え?」



戸惑う私。



「おんぶ」

「いやいやっ。恥ずかしいし、重いから!」



恥ずかしいし。

最近体重、増えたばかりだし。

神崎くんの背中に乗るなんて恐れ多い。



「いつまでも座っていられないでしょ?」



呆れたように神崎くんは言う。

確かに、いつまでもここにはいられないけど。

だけど、私は涼を探しに来たわけで。



「涼は?」

「場所は大体分かる」



だから帰るよ。


と、神崎くんが言うので、私はお言葉に甘えてその背中に乗る。



「お、重いよね?」

「軽い」



体重5キロ増えたのに。

神崎くんって、意外と力持ちなのか……。


って、そうじゃなくて。
< 103 / 276 >

この作品をシェア

pagetop